主 催 中 日 新 聞 社
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川 口 豊(飛騨高山審査会・名古屋審査会) 本年はショパンイヤーです。ショパンが生まれてちょうど200年目の年にあたります。このピアノグレードテストも最終の到達目標として、ショパンのエチュードを掲げています。最終目標に達する道を皆様にも努力して、極めていただきたいと心から願っています。正直、ショパンのエチュードでなくとも、すべてのピアノ練習者が通らなければならない節目があります。たとえばさまざまなチェルニーのエチュードにしても、人前で演奏することには勇気がいることです。思いの他に大きなプレッシャーがかかることと思います。しかし、これこそこの中日ピアノグレードテストが、最も大切なことと願っていることです。エチュード(練習曲)はその名が示している通り、必ずそれぞれに何を習得してほしいかが明確に示されています。練習目的を楽譜上から正しく読み取り、把握し、その目的にしたがって練習を重ねることはとても重要なことなのです。 飛騨高山地区審査会で多くの皆様の演奏を聞かせていただきましたが、実に見事にエチュードの目指しているところを把握し、努力されている姿を見受け感動しました。しかし、それは極めて少数派でした。残念なことに多くの人達は、大切なことに気がつかないで単に指が動くようになることを目標にしているような音(演奏)に出会いました。楽譜を深く読もうとすることはとても大切なことです。私達は、先人達が残してくれた音楽という文化遺産から多くのことを学び、現代の私達の心の糧として生かしていかなければなりません。どうか皆様、これからもますますのご成長を期待しておりますので、どうぞ私達のささやかでも大きな願望にもお応えいただきたいと思っております。 (飛騨高山審査会) 長 谷 川 淳(名古屋審査会審査委員長) ピアノにあわせて、瞬時にタッチやバランスがコントロールできるようになっていただければと思いました。しかし、総体的に今回の皆様の演奏はハイレベルで十分に聞き応えのあるものばかりでした。大きな可能性を持った参加者の皆様が、これからもこの「中日ピアノグレードテスト」にチャレンジ下さることを切に願っております。 今回も名古屋地区の数多くの参加者の熱意ある演奏が聴けて、とても嬉しく思いました。会場の熱田文化小劇場は素晴らしいシュタインウエイのフルコンとアコースチックに恵まれた理想的な雰囲気でした。 さて、参加者の皆さんの演奏を聴いて感じた事は、大半の方がこのグレードテストの意義をよく理解されて取り組まれている点です。つまり一番のベースとなる課題曲でもある練習曲を、大変にしっかり勉強されていて感心しました。何事にも通じますが、基礎力は不可欠です。特にピアノは大変なスパンで順次に高度な技術を必要とする作品に移行していく為に、ともすると日常の基礎力の育成がなおざりになりがちです。特に昨今のコンクール時代と小学生の置かれた大変に多忙な状況下では、腰をすえて、しっかりと練習曲などに取り組む機会が失われがちです。だからこそ、このグレードテストで課題曲にされている練習曲の1つひとつを、必ず含めた総合的な練習課題に取り組むことが非常に貴重な機会だと感じていました。 今回参加された皆様の演奏からはこうした基礎力の上に立って、更に自由曲でさまざまな表現力を実現しようと試みられた姿勢が強く感じられ、たいへん喜ばしく思いました。しかし、ピアノの勉強の中でも基礎力の練習は継続してこそ意味があります。皆様がこのグレードテストをもっともっと活用されて、なお一層の飛躍を遂げられますこと願っております。今回の演奏を聴かせていただいて2,3気がついたことは、幾分手首や腕での音を捉える状態に無駄な力が入ってしまい、音色が硬質で伸びのない響きになった方が多かった点です。特にメロディーはピアノではあるけれど、弦楽器や人の歌をイメージしてlegato(レガート)で、表現力豊かに歌ってほしいのです。さらに伴奏は、フルコンで演奏することをわきまえて、メロディーとバランスさせてください。また、足が床に届かない小さな方は、良い姿勢で演奏するうえからも、ぜひ補助ペダルや足台を使用することをお勧めします。 このグレードテストを継続的にチャレンジし続けてこそ、将来的には大ホールでも通用する演奏力が備わる事は間違いないと思います。継続こそは「力」です。次回も是非とも聴かせてください。 (名古屋審査会) |